こんにちは!札苗キャンパス教室長の小原です。
最近では、すべての教科のテストで文章量が多くなり、より読解力が必要になってきています。
そこで、読解力はどうやったら身につくのか、「文章の読み方」を6つの構成要素に分けて考えてみたいと思います。
読解力6つの構成要素
何がどうした? ――係り受け
係り受けとは、文の中で各要素がどのように関係しているかを示す文法的な構造のことです。例えば、「私は本を読んでいます。」という文では、「私」が主語で、「本」が目的語であり、「読んでいます」が動詞です。これによって、誰が何をしているのかが明確になります。
あれ?これ? それ? どれ? ――指示語・照応
指示語とは、特定の物や事柄を指し示す言葉のことです。例えば、「これは私の本です。」と言った場合、「これ」はその場で話者が指している本を示します。照応は、先行する文や文脈から指示語が指している対象を特定することです。
同じ? ちがう? ――同義文
同義文とは、意味が似ているが表現が異なる文のことです。言い換えると、同じ内容を異なる言葉で表現する方法です。例えば、「彼は頭が良いです。」と「彼は知的です。」は同義文です。
これって、ありえる? ――定義と具体例
定義と具体例は、何かを説明する際に用いる手法です。まず、対象物や概念を明確に定義し、その後に具体例を挙げて説明します。例えば、「猫は小型の哺乳類で、鳴き声はにゃーということが多い。」という具体例を挙げることで、「猫」を説明しています。
書かれていないこともわかるの? ――推理・推論
推理や推論は、与えられた情報や文脈から、書かれていない情報を推測することです。例えば、文章の背景や前提から、論理的に結論を導き出す能力を指します。
図や表のどこを見ればいい? ――図表の読解
図や表の読解では、図や表に含まれる情報を理解し、それを文章や議論にどう活かすかを考えます。主に、見出しや軸ラベル、データの相関関係などを読むことが重要です。
読解力のつけ方
「読解力」という一見ぼやっとしたものを要素に分解すると、以上のようになります。
係り受けが理解できなければ、文章の意味を正しく理解することができなくなります。
指示語・照応は、テストで頻出です。指示語が指す内容を書く問題は大変よく出題されます。
同義文以下は、大人でも正解率が下がります。
こうした能力は、国語のワークをやることや、NEXTで受講できる速読解力・思考力講座で鍛えることができます。
実際に問題をやってみましょう!
1. 係り受け
以下の文において、主語と動詞の関係を明確にし、正しい係り受けを示しなさい。
問題: 「彼は図書館で本を読んでいる。」
質問:
この文における主語は何ですか?また、動詞は何ですか?
2. 指示語・照応
以下の文の中で、「これ」が指しているものを選びなさい。
問題: 「寒い日が続いています。しかし、これは例年の冬と同様です。」
質問:
「これ」が指しているのは何ですか?
3. 同義文
次の文と同じ意味になるように、言い換えた文を選びなさい。
問題: 「彼女はいつも元気だ。」
選択肢:
A) 彼女はいつも活発だ。
B) 彼女は元気がない。
C) 彼女は元気だが、時々疲れている。
D) 彼女はいつも静かだ。
質問:
「彼女はいつも元気だ」と同じ意味になる文を選びなさい。
4. 定義と具体例
次の文における定義に合った具体例を選びなさい。
問題: 「植物は、光合成を行い、根を持ち、土壌から水や養分を吸収する生物である。」
選択肢:
A) オオカミ
B) サクラの木
C) 魚
D) 昆虫
質問:
「植物」の定義に最も適した具体例はどれですか?
5. 推理・推論
次の文を読み、その内容から推測できることを選びなさい。
問題: 「ジョンは午前中、プレゼンの準備をしていた。しかし、プレゼンが終わった後、彼は疲れて椅子に座り込んだ。」
選択肢:
A) ジョンはプレゼンをうまく終わらせた。
B) ジョンはプレゼン後に休憩を取った。
C) ジョンはプレゼンの準備をしていなかった。
D) ジョンはプレゼンに失敗した。
質問:
この文から推測できることはどれですか?
6. 図表の読解
以下のグラフを見て、質問に答えなさい。
問題:
グラフは、過去5年間の売上高を示しています。2019年の売上高はどのくらいでしたか?
質問:

選択肢:
A) 100万円
B) 200万円
C) 300万円
D) 400万円
答え
1. 係り受け
問題:
「彼は図書館で本を読んでいる。」
答え:
- 主語: 「彼」
- 動詞: 「読んでいる」
- 係り受けの説明: 主語「彼」が動詞「読んでいる」と関係しています。「図書館で本を」という部分は副詞句で、場所や目的を示す情報です。
2. 指示語・照応
問題:
「寒い日が続いています。しかし、これは例年の冬と同様です。」
答え:
「これ」が指しているのは「寒い日が続いている」ことです。文脈から、寒さが特徴であることが強調されているので、指しているのは寒さや冬の特性を指します。
3. 同義文
問題:
「彼女はいつも元気だ。」
答え:
A) 彼女はいつも活発だ。
- 理由: 「元気」と「活発」はほぼ同じ意味で使われることが多いため、この選択肢が同義文として適切です。
4. 定義と具体例
問題:
「植物は、光合成を行い、根を持ち、土壌から水や養分を吸収する生物である。」
答え:
B) サクラの木
- 理由: サクラの木は植物であり、光合成を行い、根を持ち、土壌から水や養分を吸収します。他の選択肢(オオカミ、魚、昆虫)は植物の定義に該当しません。
5. 推理・推論
問題:
「ジョンは午前中、プレゼンの準備をしていた。しかし、プレゼンが終わった後、彼は疲れて椅子に座り込んだ。」
答え:
B) ジョンはプレゼン後に休憩を取った。
- 理由: プレゼンが終わった後に疲れて座り込んだということから、ジョンは休憩を取ったと思われます。プレゼンがうまくいったかどうかは文からは読み取れませんし、失敗したことを示す証拠もありません。
6. 図表の読解
問題:

2019年の売上高はどのくらいでしたか?
答え:
B) 200万円が答えになります。
青の棒グラフが売上を表していることが、グラフの下にありますので、2019年の青い部分を見ると¥2,000,000とあります。
おわりに
社会・理科のテストが難しくなって久しいですが、どの教科でも「図表の読解」が増えているからだと思います。
基本的に紹介した順番に、読解は難しくなる(正答率が下がる)傾向があります。
こうした構成要素を理解したうえで、学習に取り組むことや、お子様の学習をサポートすることで効果の高い学習をできることを祈っております。