弊社では、1月末から2月中旬にかけて、保護者面談を実施しています。
その中で、多くの保護者の方からご相談いただくのが、スマホとの付き合い方です。
今回は、そんなスマホとの付き合い方を考えてみたいと思います。
小・中学生のスマホ所持率
東北大学加齢医学会研究所が2021年度に小学校5年生から中学校3年生、約3.7万人にアンケート行った結果、学年ごとのスマホ保有率は次のようになりました。
小5:65.5%
小6:66.6%
中1:77.3%
中2:84.6%
中3:88.4%
こうしてみてみると、過半数がスマホを所持していることがわかります。
2022年3月に発表した内閣府の「令和3年度青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、10歳以上の小学生では平均3時間27分、中学生では平均4時間19分もの時間がインターネットに費やされているようです。
その使用目的の多くが、動画や娯楽…。なんでもインターネットにつながる時代ではありますが、改めて使い方について考える必要がありそうです。
脳の発達に影響する
平均年齢11歳の子どもたち223人を対象にした調査では、インターネットの利用時間が長くなるほど、脳の認知機能を左右する前頭葉や記憶力を左右する海馬の発達に悪影響が見られたそうです。
一般にスマホを長時間使う生徒は睡眠時間が短くなりがちですが、仮に睡眠時間を確保してもスマホの使い方を改善しなければ成績向上しないという研究結果もあるほどです。
また、スマホを3時間以上使用する子どもたちの成績の平均は、全体の平均に到達しないそうです。
動画を見れば、実際に体験しなくても多くのものを見聞きすることができます。もちろん、それは機会を広げるという意味では大変有意義です。しかし、すべての体験がスマホで代替できるわけではないという点で注意が必要です。
動画では平面上で起きている物事も、実際に目にした場合の情報量とは大きな差があります。例えば、触った感触、匂い、温度、湿度、奥行き、大きさ…枚挙にいとまがありません。
子どもたちはそうした情報から、様々な学びを得るのです。
スマホで見たからOKではありません。私たちが美味しそうな食べ物を動画で見てもそれだけでは味がわからないのと同じです。
実は試されているのは大人
現代の子どもたちは、デジタルネイティブ世代と呼ばれています。生まれながらにして、デジタル機器に囲まれた生活をしており、それは私たち大人も経験したことのない世界です。これから、デジタルの活用が必須になる一方で、一生モノの認知機能を左右するのは幼少期のアナログ的な情報との接点であるというのはなんとも皮肉です。
そんな中、大人だからと言い訳してデジタル漬けの大人を見て、子どもたちはどう思うでしょうか?私たちが率先して自然の豊かさや、リアルな体験の面白さ、読書の楽しさに触れなければ、子どもたちができるはずはないのです。
子どもがスマホばかり触ってというご相談をよくいただきます。実際は、スマホの契約を止めることも、制限することも、親がその気になれば簡単にできることです。実は親側の覚悟が問われているのです。ここまでご紹介した情報からお伝えするとすれば、スマホの付き合い方に課題がある場合には早急に見直すべきだと思います。もちろんデジタルは使えば大変便利ですが、未熟な使い方しかできないのであれば、まず正しく使えるようにすることを優先させるべきです。