子どもたちと毎日関わる中で、言ってすぐに動けない我が子にイライラすることはありませんか?
ここ最近、私は行動経済学に関する本を数冊読んでいたのですが、その中で子育てに活かせそう!という声掛けのコツにふれることができました。
今日はそんな行動経済学を元にした、わが子との関わり方についてご紹介します。
行動経済学とは?
行動経済学とは、人がなぜ合理的な行動ができないのか、その理由を解き明かす学問です。
最近勢いのあるGAFAM(Google(Alphabet)、Apple、Facebook(Meta)、Amazon、Microsoft)がこぞって行動経済学を専攻する人材を採用していることで有名になりました。
行動経済学には、人が動く仕組みがつまっていて、それがビジネスの現場でも多いに役立っているのです。
行動経済学が歴史を変えた
2008年11月4日はアメリカにとって歴史的な1日でした。黒人初の大統領、バラク・オバマ大統領の誕生です。期待に胸踊る一方、実務をする上では思い通りいかないこともあり、再選を目指した2012年の大統領戦では、苦戦を強いられます。実際に下馬評では不利とされていたそうです。
そこで、世界的に有名な行動経済学の権威であるデビッド・W・ニッカーソン氏を選挙対策チームに招聘。この2012年の選挙戦は、行動経済学が大活躍した選挙として知られています。
その選挙戦では、浮動票を獲得するために、行動経済学の知見が使われました。
行動経済学には、「ナッジ理論」というものがあります。ナッジ(nudge)とは、軽くつつくという意味で、さりげなく促すだけで、人々に影響を与え、行動を変えられることがわかっています。
例えば、このケースでは、「なんとなく選挙に行かない人を投票所に行かせる」ことで浮動票を獲得すれば、オバマ大統領が再選できる見込みがありました。そこで採用した戦略はなんとなく行かない理由をナッジ理論を使って取り除くというものでした。
具体的には、浮動票が多い地域を特定し、そのエリアの居住者に次の3つの質問をするだけという大変シンプルなものでした。
- 選挙の日、何時に投票しますか?(時間)
- その日はどこから投票所に行きますか?(場所)
- 直前にはどんな予定がありますか?(直前の予定)
結果は皆さんご存知の通り、浮動票を獲得したオバマ大統領が接戦州を制し大統領に再選されました。
選挙の場所・時間・直前の予定を聞き、具体的にイメージしてもらうだけで、「選挙にいけそう」と感じてもらうことができ、結果として有権者を投票所まで動かすことに成功したのです。
子育てに、行動経済学の力を。
さて、私たち親はこの事例から何を学べるでしょうか?それは、具体化してあげるだけで人は動けるようになるということです。人が動けない理由は、こうした「なんとなく」というものが多いのです。
私たち親が、腰が重いわが子を怒っても、双方のストレスになり関係が悪化するばかりです。(もしこの選挙戦で、オバマ陣営が選挙に行かないことを説教してきたら、浮動票を獲得できただろうか?と考えてみてください。)
だから、感情に任せるのではなく、私たちは理性で子どもたちを動かしましょう。何時に勉強をはじめる?どこでやる?今日はこんな予定だけど、どうやったら勉強に取り組めそう?と具体化してあげるのです。
まとめ
動かないわが子にも責任があります!それはもちろんです。でも、責任を追求したり、叱責すれば一時的にスッキリはしますが、わが子が幸せになるわけでもありませんし、問題が解決するわけでもありません。わが子が自分で動けるように育てたい!これこそ親の腕の見せ所です。
NEXTの保護者の皆様は、皆さま日頃からお仕事も子育ても一生懸命な方ばかりです。私たちならできます!一緒に子どもたちを前向きに動かせるように関わっていきましょう。