はじめに
ここまでコーチングを学習した方は、すでにコーチングができるようになっているはずです。ここからは、そんなコーチングの技術をさらに伸ばし、自信がない!という子どもたちにも臆せず関われるようなコーチを目指します。それでは早速はじめます。
IメッセージとYouメッセージ
メッセージの伝え方には、大きく分けて2種類があります。まずは、メッセージの種類について学びましょう。
- Iメッセージ:主語が「私は〜」となる言い方
例)「感動したなぁ」「次も楽しみだなぁ」「やってくれると思ってたよ!」 - Youメッセージ:主語が「あなたは〜」となる言い方
例)「がんばったね」「すごいね」
Iメッセージは、その人が感じたことなので素直に受け取りやすいのですが、Youメッセージは評価のニュアンスを意図せず含んでしまうことがあり、お世辞や説教のように感じられて素直に受け取れない人もいます。特に自分に自信がないという人は、斜に構えてしまいYouメッセージをうまく受け取れない場面が多いように思います。ですからニュアンスも含めて正しく相手に伝えることを考えるならば、叱るときも、承認するときもIメッセージで伝えるべきです。
私たちは意識しないとついついYouメッセージを使ってしまいがちです。ですから、意識的にIメッセージを使うように心かげなければなりません。
リフレーミング
続いてご紹介したいのが、「リフレーミング」という技術です。リフレーミングは、ものごとを視点を変えて捉え直すことです。自信がない子どもたちは、悲観的に物事を捉えることが多いので、ポジティブに物事を捉えられるように関わりましょう。
例)
- 「緊張した」
→「うまくやりたい、成長したいという気持ちが強い」のように、緊張を向上心の現れとして捉え直す- 「面接に落ちた」
→「今回うまくいかなかったことを反省して次に活かせば、他の人よりも上手にできるんじゃない?」のように失敗を次に活かせる学びの機会と捉え直す
フューチャーペーシング
表題のフューチャーペーシングの前に、まずはペーシングについてご紹介します。
ペーシングとは、相手のペースに合わせて、声の調子や速度を調整し、安心して話せる環境を作り出すことをいいます。
フューチャーペーシングは、クライアントとコーチ間で未来に対するイメージをすり合わせる作業です。制約なく、将来について話して、実現したらわくわくすること、そんなことがあってもいいな!というイメージを一緒にふくらませるお手伝いをします。
危機感よりもワクワク感の方が人を動かします。〇〇をしないといけない!ではなく、〇〇するとこんな未来が待っている!と伝えることが大切です。
フューチャーペーシングは、目の前の目標がなかなか立てられない…というときや、行き詰まり感を打開してくれるかもしれません。
長所伸展型指導
USJ再建の立役者として知られる、マーケターの森岡毅さんは、以前インタビューでこんなことをお話されていました。
なすびはいくらがんばってもなすびで、きゅうりにはなれない。
何のこと?と思うかも知れません。
森岡さんの真意は、あなたはあなたのままで価値があるということ。人それぞれ、得手・不得手があり、なすびをきゅうりにしようとするのではなく、おいしいなすびになれるようにすることのほうが大事でしょ?ということです。
欠けているところに目を向けるのではなく、美点凝視の姿勢です。強みを活かすということですね。
だからこそ私たちが大切にしたいのは、子どもたちが自分自身の
- 自信を持っていること
- その人らしいこと
- 得意なこと
- 好きなこと
に自ら気づき、それを強みとして意識し、さらに磨き込むことです。それによって、人は自己肯定感を持つことができます。
ときに、自分で気づくことができていないときもあるでしょう。そんなときには、周りの大人が教えてあげることが大切です。
そのために親や教員は、成功体験に目を向ける(小さな成功も見逃さない)ことが大切です。それを見逃さずに承認できれば、成長を実感し、子どもの自信につなげることができます。
繰り返しますが、子どもの姿は大人の姿を映す鏡です。
暗示
今回、最後にご紹介するのが、「暗示」という技術です。怖気づいたりして目的地よりも手前で歩みが止まってしまったとき、現状からもう一歩高い目標に挑戦してもらえるように促すテクニックです。
重要なのは、「もう少し頑張ってみよう」「一歩先に進んでみよう」と思える声掛けをすることです。
例
「〇〇さんは、今回もできると思うよ!」
「〇〇さんは、本番に強いからね!」
暗示には、プラスの暗示とマイナスの暗示があります。
- プラスの暗示
「簡単だからやってごらん」→前向きになりやすい - マイナスの暗示
「ちょっと難しいんだけど」→難しそうと感じてしまい、行動が阻害される
気をつけないと、マイナスの暗示って結構使ってしまうんですよね。知っていると意識することができますから、今後はプラスの暗示でいっぱいにできるように関わってみましょう。
おわりに
今回は、子どもたちの自信を育む関わり方について学びました!
さて、コーチングの学習もあと少し!次回は、日常的についつい使ってしまう声掛けをコーチング的に見つめ直し、改善するという実戦編です!あと少しです!理想の関わりができるコーチを目指して頑張りましょう!