第7講 提案・沈黙・介入

はじめに

前回は、代表的なコーチングプロセスであるGROWモデルを学びました。GROWモデルを使うことで、コーチングの手順を簡単にイメージしながら進めることができるはずです。

しかしながら、コーチングは人の本心に迫りますから、一筋縄ではいかないことも多いのです…。今回はそんなときに役立つ、「提案」「沈黙」「介入」のスキルを学びます。

許可をとる

コーチングの基本スキルとしてご紹介した「傾聴」ですが、例えばクライアントが質問に答えられず返答に困ることもあるでしょう。また、どうしてもクライアントのため伝えてあげなければいけない場面もあるはずです。

※ただ、ここの線引きは難しいですよ!あんまりやりすぎると「傾聴」ではなくなってしまいますし、結局意見してくる大人としてみなされてせっかくの信頼関係が壊れてしまいます。

信頼関係といっても、ガチャン!と音を立てて、いま壊れた!とわかればいいですが、そうではなく相手の本心にふれることができなくなってしまうので、コーチングの目的から大きく遠ざかってしまいます。

コーチングの目的…覚えていますか?相手を目的地まで連れて行くことです。

相手が返答に困っていたり、答えがなかなか考え出せないときや、こちらの意見を伝えたいときに役立つのが「許可」というスキルです。

ちょっと提案(お願い)があるんだけど、伝えてもいい?

→許可が得られなかったら違うアプローチを考える

提案

では、次に「提案」の方法を学びましょう。あくまでも提案です。やりなさい!と命令になっていたり、そうは言っていなくてもそのニュアンスが含まれていないかが重要です。

  • 〜してみたらどう?
  • A、B、C(その他)どれにする?

このように問いかけ型で提案すれば、やる・やらないは自分で決めることができます。

心理学者のデシ博士が発表した自己決定理論によると、人は自分でやることを自分で決めたいという自律性の欲求と、有能感を感じたいという欲求、周りの人間と良好な関係を築きたいという欲求があり、これを満たすことができるとモチベーションに火がつくことがわかってます。

だからこそ、自分で決めるということが大事です。

リクエスト

提案だけではなく、こんな伝え方もできます。リクエストというテクニックです。

試しに〇〇してもらいたいんだけど、どうかな?

ここでも大切なのは、「どうかな?」という投げかけです。やっぱり、自分で選んでもらうんです。

フィードバック

クライアントが目的地に近づくために、正しい方向からそれていた場合にそれを伝える必要があるという場面もあるでしょう。そのときに使いたいのが、フィードバックです。

多くの方がイメージするフィードバックは、アドバイスの要素が強いと思いますが、コーチングのフィードバックはそうではありません。

評価や指摘ではなく、コーチが気づいた様子をただ伝えるだけです。

  • よくないフィードバックの例:
    〜だよね。(評価や指摘のニュアンスがある)
  • よいフィードバックの例:
    〜しているように見えたよ。(気付いた様子・事実を伝えるだけ)
    ※写真を撮って見せてあげるのもOK

責める・脅すという大人が取りがちなアプローチは、子どもの自信を失わせたり、反発心をあおってしまい逆効果です。私たちの不勉強が、知らないうちに子どもたちの自信をへし折り、可能性の芽を摘んでいることもあります。子どもたちのいまの状況は、私たち関わる大人を映す鏡だということを忘れてはいけません。

直感

私たち大人は数々の成功・失敗を味わっていますし、子どもたちと触れる時間も長いですから、子どもたちの様子を見て直感的に感じることもあるでしょう。そのときに感じたままを伝えることも、有効な場合があります。

例)
ちょっといま気づいたことがあって、伝えてもいいかな?
〇〇って感じたんだけど…

ポイント

  • 許可を取る
  • タイムリーに
  • 指示・命令・批判をしない
  • 受け取るかどうかは相手に委ねる

くどいですが、やっぱり受け取るかどうかは相手にゆだねてくださいね。自分で決めるということが、コーチングにおいては非常に重要なことです。

沈黙

コーチングを進めていくと、質問をしてもすぐに返答が返ってこない「沈黙」の時間ができることがあります。でも、この「沈黙」の時間は、相手が落ち着いて自分の中の答えを探している非常に重要な時間です。

気まずさに負けず、30秒くらいまでは沈黙を許容しましょう。

例)
待っているから大丈夫。ゆっくり考えて、思いついたら教えて。よく考えてから教えてほしいな。

沈黙を許すことで、自分で考え、気づいていく力が身につきます。反対に、沈黙を許さないと、自分で考えなくなってしまうのです。

介入

コーチングをしていると、時間の成約や脱線して収拾がつかなくなってしまうことがあります。そのときに使うのが「介入」というテクニックです。

例)
「もっと話したいんだけど、一旦時間だから続きは次回にしてもいいかな?」

「じゃあ、1回ここまでの話しを整理してみよう」
※ 「最後まで聴いてあげられなくてごめんね!」というように、フォローする言葉も大切に。

おわりに

今回は、コーチングセッションを行う中でよくあるシチュエーションをもとに、それを乗り越える方法を学びました。

次回は、自信をなかなか持つことができない子どもたちとの関わりで活かせる技術を学び、さらに難しい場面でもクライアントを目的地につれていけるようなコーチを目指します!次回もお楽しみに!

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