はじめに
前回は、コーチングの基礎となるオートクラインや非言語コミュニケーションについてお伝えしてきました。自分の口から発した言葉を自分の耳から聴くことで、正しく自己認識してもらう。そのためのコーチングを有意義にも、無意味にもしてしまう非言語コミュニケーションの重要性についてご紹介しましたね。
いよいよ今回は3大基礎スキルの「傾聴」と「承認」についてご紹介していきます。
座る位置
まずは「傾聴」から学びたいのですが、「傾聴」をより価値のあるものにするための座り方からご紹介します。座る位置関係には、次の3つがあります。

対面:視線がぶつかるため、警戒されやすく、敵対心を生みやすい
90度:視線を合わせることも、外すこともしやすいため、リラックスできる
横並び:視線は合わないが距離が近い、信頼関係を構築した後におすすめ
こうしてみてみると、コーチング的な関わりをする場合には、90度もしくは横並びが望ましいといえるでしょう。
傾聴
傾聴はただ話を聞くことではありません。相手の話を否定せずに最後までじっくり聴くことです。
ついつい私たち大人は、子どもたちの話を聴くときに自分たちの意見や考えを挟んでしまいます。しかしそれでは傾聴とはいえません。
話を聞いてほしいとき、必ずしも意見を求めているわけではありませんよね。ただ聴いてほしいということがあるはずです。まず受け止めることを受容といいますが、肯定も否定もなくただ聴いてあげるということを意識しなければありません。
この人は何を言っても否定しないぞと警戒心を解いた後に思いもかけない本音が出てくるものです。
「傾聴」とは、相手の言葉の裏にある感情まで推し量る行為です。「傾聴」がうまくできるとクライアントが「勝手にしゃべって、勝手に気づく」瞬間があります。
そう、「傾聴」はオートクラインを発生させるテクニックともいえるのです。
バックトラック(オウム返し)
では、最後に「傾聴」に関連するテクニックをご紹介します。
それが、バックトラックというテクニックです。名前はかっこいいですが、内容は相手の言葉をそのまま繰り返すだけ。簡単ですね。
例えば、「〇〇がわからない」とクライアントから話があったら、「そうか、〇〇がわからないんだね」と返します。特に意見を付け足したり、言ってもいないことを想像で付け加えてはいけません。
そのまま返すことで、クライアントはもう1段階深い内容をさらに話してくれます。こうして深いところまで傾聴していくのです。
おわりに
さて、今回は傾聴について学んできました。いかがだったでしょうか?
言葉で言うのは簡単ですが、実践するのが難しい…ついつい我慢できずに自分の意見を話してしまったり、アドバイスを始めてしまう…というのがよくあることです。
あくまでも、クライアントのオートクラインを発生させたり、より深い核心部分に迫るための傾聴ですから、うわべの部分でアドバイスを加えて台無しにすることはもったいないんですよね。まずは私たちから普段の関わりを見直してみましょう!
次回は3大スキルの「承認」について扱います!お楽しみに!