第2講 コーチングの基礎

はじめに

前回は、コーチングの全体像について、私たちが身近に受けてきたティーチングという関わり方と対比しながらご紹介しました。いよいよ今日は、コーチングの基礎について学んでいきます。

自己基盤の重要性

コーチングは、人の迷いや葛藤と向き合い、一人ひとりが課題を解決できるようにサポートするという営みです。理想に向けてクライアントを導くためには、まずコーチが未来志向になれること、すなわち自己基盤が整っていることが大前提になります。

スキルや行動は、自分という人についてくるものであって、スキルだけ、行動だけで独り歩きしているものではありません。スキルや行動は、人という幹に、枝葉のようにつくものです。

ですから、心身の不健康、心配事、焦り、不平不満、不安など自分で自分をコントロールできていないと知識・スキルは活かせません。

コーチングを学び、実践する以前に、まず人としての土台がしっかりしていることが大切。
規則正しい生活、精神的な安定、ポジティブな考えや行動がまず必要だということをご理解ください。

コーチングの原則

コーチングの具体的な技術論に入る前に、3大原則をおさえましょう。

コーチングの3大原則

  • かたまりで見ない
    集団の傾向でくくってクライアントを見るのではなく、一人ひとりを尊重する
  • 見捨てない
    相手を見限ることなく、諦めずに他のアプローチを探して試す
  • 可能性を信じる
    相手のことを「できる人」として接する

簡単なことのように見えますが、ちょっとこなれてくると忘れていたり、意識できていないことがあったりします。改めてこの原則をしっかり理解し、実践することが大切です。

世界一子どもが幸せな国の教育

ユニセフ「レポートガード16」(2020)では、先進各国の15歳の子どもたちの精神的幸福度を国際比較しています。

精神的幸福度を示す生活満足度の 1位はオランダで、日本はワースト2位という結果でした。

オランダでは「省察(せいさつ/自分のことを省みて考えめぐらすこと)」という取り組みを大切にしています。

オランダの学校では、先生が黒板で教えるというスタイルではなく、生徒自身が学びたいことを選び、深めていき、実際にやってみてどうだったのかを振り返り、次はこうしようという行動を明確にして次に活かすような一連の流れがあるそうです。

P 何をいつ勉強するのかは自分が決める

D 実際に取り組む

C やってみてどうだったかを振り返る

A 次はこうしようという行動を明確にし、次に活かす

こうした取り組みを重ねていくことで、自分なりの正解・理念を導き出せるようになるというのです。

子どもが世界一幸せな国には、コーチングが浸透しているんです。

オートクライン

オートクラインとは、自分の考えをいったん言葉にして、自分の耳で聴くことで自分考えを深く理解することをいいます。

人間は、自分の頭の中で考えていることの変化のスピードが早すぎて、自分でも認識できないと言われていて、オートクラインをすることではじめて認識できることもあるそうです。ですから、コーチは相手の話を聴いて、内面に抱えるものを引き出すことに徹することで、オートクラインによる自己認識を深めるお手伝いをするのです。

ではここで、前回扱うことができなかったカウンセリングとコーチングの違いについてご紹介したいと思います。

カウンセリングコーチング
感情に焦点をあてる
→過去に原因を探すアプローチ
過去志向
行動に焦点をあてる
→未来に向かって方法を探すアプローチ
未来志向

カウンセリングとコーチングは、似ていますが過去志向か未来志向かで大きく方向性が異なります。カウンセリングはいまうまくいかないことについて過去の原因を振り返り解決する営みですが、コーチングはこれからどうしていくかという前向きな営みであり、目的や方法には違いがあるということがわかります。

コーチングの3大基礎スキル

では、さっそく未来志向で方法を探すコーチングを実践していくために必要な3つのスキルをご紹介したいと思います。

  • 傾聴:相手の話を聴く
  • 承認:相手を肯定的に認める
  • 質問:相手のために質問する

これから1つずつをご紹介していきますから、ぜひ楽しみにしていてください。

では早速…と言いたいところなのですが、個々の技術以前にもう一つ大切なことがあります。
それが、非言語コミュニケーションです。

非言語コミュニケーション

コーチングは質問や承認の言葉がけを使ってクライアントを目標に導く言葉の技術ですが、実はコミュニケーションにおいて言語の影響力は限られています。

コミュニケーションの影響力

顔・身体>音声>言語

  • 音声→声の大小、声の高低、話すスピード、アクセント、間のとり方
  • →表情、視線、うなずき
  • 身体→姿勢、身振り・手振り、立ち振る舞い

言葉よりも、表情や身体、声のほうが影響力が高いのです。
上でご紹介したように、その1つ1つをとってもいくつも工夫できるポイントがあります。言葉だけでなく、非言語のコミュニケーションについても、工夫が必要です。

コミュニケーションは質より量

自分はコミュニケーションが苦手…という場合や、なかなかよいコミュニケーションが取れないということもあるでしょう。しかし、コミュニケーションにおいて大切なのは、質よりも量だと言われています。

何度も声をかけ続けて、相手のことを知っていく姿勢が信頼関係を築くのです。
相手のことを知ろうとする興味が、効果的なコーチングを行う土台をつくっていきます。

おわりに

では、第2講はここまでです。
次回は具体的にコーチングの3大スキルの1つ、「傾聴」について学んでいきます。
次回も頑張りましょう!

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