2023年5月8日…
突然私たちの生活を変えてしまった新型コロナウイルス感染症の区分が「5類」に変更されました。
たくさんの人の命を奪い、生活を変えてしまったコロナ禍…。
ようやく元の生活に戻りつつありますが、今日はコロナ禍を私の視点から振り返ってみたいと思います。
学習塾って必要?
新型コロナウイルス感染症が日本で初めて報告されたとき、私は大変な恐怖に襲われました。
安全と言い切れない中で、塾に通っていただいている子どもたちに、どういった教育サービスを提供すべきなのか?
そもそも、塾ってそこまでして行かないといけないものなのか?
塾って必要?
そんな想いがぐるぐると頭の中を巡っていました。
コロナ禍で注目を浴びた「エッセンシャルワーカー」という言葉…
改めて、人の生活を支えてくれる「当たり前の存在」に気付かされました。
スーパーの従業員、ゴミ収集員、電気、通信、農家、漁師、物流、福祉、そして医療…
当然ながらこうした仕事は、私たちが生活をする中でかけがえのない重要なインフラです。
しかし、塾はどうでしょう?
確かに勉強は大事。
でも、人の生き死にや、生活を維持する以上に大切な仕事はありません。
勉強を教えても、すぐに目の前の患者を助けることはできないし、空腹を満たすこともできません。
私たちの仕事はちっぽけなものかもなぁ…とマイナス思考が止まりませんでした。
正解がない問題
正解がない問題とはまさにこのこと。
未曾有の緊急事態宣言下、しかも受験直前…塾はいままで通り開けるべきか?
当時は、重症化率も高く、また入試における追試などのフォロー体制が十分に整っていなかったことなどから、NEXTはオンライン授業を採用することにしました。
限られたメンバーで集まり、急いでオンライン授業の運営・進行方法、カリキュラムの検討を行いました。
職員は、部屋の四隅に分かれて、会話もなく、淡々とオンライン授業の案内を作成、封入し、緊急事態宣言下でスピーディーにオンライン授業を始めることができました。
ちゃんとオンラインで授業ができるかな…
という私たちの不安をよそに、子どもたちはこんな環境にあっても「非日常」を楽しむようにしてオンライン授業に取り組んでくれました。本当にありがたく、心があたたまる瞬間でした。
当時は、外を出歩くのもはばかられる状況でしたし、コロナ初期に全く感染者を出さずに運営できたことは非常によかったと思います。
しかしその後も、様々な場面で正解のない問題に答えを出さなければいけないことが続きました。
いま考えても、絶対にやり直したくありません。
経営は選択の連続…でも、こんなに選択するなんて聞いてません(笑)
会社つぶれちゃうのかな?
コロナ禍は人の価値観を大きく揺さぶりました。
大手の塾は資本力を武器に、オンライン化をぐっと加速させました。
そしてコロナ禍でますます注目を浴びる通信教育…
もうオンラインの時代です!
…ってことは、会社どうなっちゃうんだろう…。
コロナ初期は、塾っていうものが全部なくなってしまうんじゃないかと本気で心配しました。
しかし、コロナ禍を通りすぎて思うことがあります…
オンラインは便利だし、それでしかできないこともあります。
でも、実物や実体験には勝てません。
それは、有名なアーティストのオンラインライブがちょっと物足りなかったり、オンライン授業がちょっと物足りないことからもわかるはずです。
コロナ禍はオンラインの便利さとともに、その限界も見せてくれたような気がします。
本物は残る
私は、トヨタ自動車の豊田章男さんを尊敬しています。
そんな私が推すトヨタのCMがあります。
(ちょっと前にあったCMですが、覚えている方はいらっしゃるでしょうか?)
それは「スープラ」というトヨタを代表するスポーツカーを紹介するCMです。
自動車の誕生により、米国では1,500万頭の馬がクルマに置き換わったそうです。
100年経って、移動手段は馬から車に変わった。
豊田 章男
しかし、いまなお、馬は競走馬として残っている。
いつも、本物だけは残る。
トヨタは、エコカーブームの最中、あえて「スープラ」というスポーツカーを開発する理由をサラブレッドに例えて説明したのです。
本物のクルマは、この先クルマのあり方が変わっても残る。だから、クルマ屋として、このクルマを作る必要があるんだと。
コロナ禍をはさみ、社会が本物と贋作とを見分けるメカニズムはこれまで以上に強く・速く働くようになりました。私たちがこれからも選ばれる塾になるためには、小手先のどうこうではなく、私たちが提供するサービスが「本物」でなければならないと思っています。
コロナ禍は大変な試練でしたが、私たちに「本物を目指せ」と課題を突きつけてきたのだと思います。
これは何も、会社や塾だけではありません。
人もまた同じ。AIの利活用がますます勢いを増す中、一人ひとりが”より価値ある人”でなければならないはずです。
改めて子どもたち、そして保護者のみなさま、従業員のみんなに必要とされる本物の塾づくり、そして人づくりを進めていきます。
ー私たち、教育産業がエッセンシャル(必要不可欠)だと言われるよう、頑張りたいなぁ。